産休育休

【社労士監修】産後パパ育休とは? 給付金・社会保険料免除の要件、パパ休暇との違いを解説!

2023年3月4日

産後パパ育休

育児・介護休業法の改正により、2022年10月1日から産後パパ育休が創設されました。近年では育休を取得するパパも増えていて企業でも取得しやすい環境の整備が整ってきていますが、以前に比べてルールが複雑になった印象を持たれる方も多いのではないでしょうか。

そこでこの記事では、休業中の給付金支給・社会保険料免除の要件や、これまでのパパ休暇との違いについて解説していきます。

【この記事でわかること】
・産後パパ育休の2つの特徴
・休業中の所得補償のこと
・休業中の社会保険料免除のこと

産後パパ育休(出生時育児休業)とは

男女共に育休を取得しやすい環境を目指し2021年に育児・介護休業法が改正されましたが、その中で男性の育休取得を促進するために新設されたのが産後パパ育休(出生時育児休業)です。

産後パパ育休の概要

  • 施行日  2022年10月1日
  • 対象期間 子の出生後8週間以内
  • 取得可能日数 4週間まで
  • 申し出期間 原則2週間前まで
  • 分割取得 2回に分割して取得可能
  • 休業中の就業 労使協定を締結している場合に限り、労働者が合意した範囲で可能 
  • 併用 通常の育休と併せて取得可能

産後パパ育休の特徴

厚生労働省のデータによると、男性が育児休業を取得する時期は「子の出生後8週間以内」が46.4%と最も多いことから、産後パパ育休は需要の多い「子の出生後8週間以内」を対象期間として柔軟に取得できる仕組みとなっています。特徴は大きくわけて2つあります。

分割取得が可能

2022年10月1日からの改正により通常の育休はこれまでできなかった分割取得が可能になりましたが、産後パパ育休も取得可能日数(最長4週間)を2回に分けて取得することができます。

「4週間続けて休むのは難しい」「途中で復帰しなければならないタイミングがある」といった場合でも育休の取得を諦めずに分割取得という選択ができます。

新米ぴよ美

1番休んでサポートしてほしい出産日や退院日などにパパさんが休みやすくなったのは嬉しいですね

休業中の就業が可能

通常の育休では休業中の就業は不可とされていますが、産後パパ育休では労使協定を締結している場合に限り休業中に就業ができます。ただし就業可能時間や仕事内容は労働者が合意した範囲内でなければならず、就業する場合は次の手続きが必要です。

休業中に就業する場合の手続き

  • 労働者から事業主へ、就業の条件を申し出る
  • 事業主から労働者へ、労働者が申し出た条件の範囲内で就業の候補日・時間を提示する
  • 事業主から提示された内容に労働者が同意する
  • 事業主が通知する

なお、就業可能日数や時間には上限があります。休業中の就業可能日数の上限について以下にまとめました。

休業中の就業可能日数

  • 休業期間中の所定労働日・所定労働時間の半分
  • 休業開始・終了予定日を就業日とする場合は、当該日の所定労働時間未満

    例)所定労働時間が1日8時間、所定労働日が週に5日の労働者が2週間休業した場合


    休業期間中の所定労働日は10日(週5日×2)、所定労働時間は80時間(8時間×10日)
    となるため休業中の就業可能日数は5日まで、就業可能時間は40時間まで
新米ぴよ美

休業中に働いていい日数は所定労働日の半分という決まりなんですね

これは会社が労働者と協定を締結した場合に限ることなの。仕事よりも産後パパ育休中にはしっかり休んでママさんをサポートしてもらいたいという会社が多いです

とり子先輩

休業中の所得保障(出生時育児休業給付)について

産後パパ育休を取得するときに要件を満たしていれば「出生時育児休業給付金」が支給されます。要件を以下にまとめてみました。

支給要件

出生時育児給付を受給するには次の2つの要件を満たしていなければなりません。

  • 休業開始日前の2年間に雇用保険の被保険者であった期間が12ヶ月以上あること
  • 産後パパ育休の取得日数を28日としたとき、休業中の就業日数が10日(10日を超える場合は80時間)以内であること

▷28日より短い期間で取得する場合は就業日数が上記に比例した日数(または時間数)以内であること

▷産後パパ育休期間中に就業して得た賃金額と、出生時育児休業給付金の合計が「休業開始時の賃金×休業日数」の80%を超える場合は、超過分を出生時育児給付金から減額

給付金をもらっているときに働くと働いた分減額調整されるのは出産手当金と賃金の調整と考え方は近いです

とり子先輩

出産手当金をもらっているときに働いた場合の差額調整について知りたい方は下記の【社労士監修】産休中に有給消化できる?出産手当金徹底理解!の産休中に給与をもらうと出産手当金は減額されるをご確認ください。

支給金額

1日あたりの支給金額は休業開始時の賃金の67%で、休業期間全体の支給金額は次のように求めます。

支給金額 = 休業開始時の賃金日額①× 休業日数② × 67%

①休業開始時の賃金日額
 L休業開始前6ヶ月間の賃金(賞与を除く総支給額)÷180

②休業日数
 L最長4週間(28日)

申請期間

申請期間は子の出生から8週間の翌日〜その2ヶ月後の月末までです。

例)子の出生日が3月1日の場合

申請期間 4月27日(出生日から8週間の翌日)〜6月30日(2ヶ月後の月末)まで

原則として事業者が管轄のハローワークへ申請をします。

パパ休暇との違い(パパ休暇は廃止→産後パパ育休)

これまであったパパ休暇は育休に付随する特例制度で通常の育休取得は原則1回まで(2022年9月30日まで)でしたが、パパ休暇は子の出生後、父親が8週間以内に育児休業を取得した場合には特別な事情がなくても再度育休が取得できました。

対して、産後パパ育休は新たに創設された制度で、育休とは別に子の出生後8週間以内に4週間まで取得が可能です。

なお、2022年10月1日付で育児・介護休業法の改正により通常の育休が分割取得できるようになったこと、産後パパ育休が新設されたことから、パパ休暇制度は2022年9月30日で廃止となっています。

新米ぴよ美

2022年10月の法改正でパパ休暇→産後パパ育休にアップデートされたということなのですね

休業中の社会保険料免除について

要件を満たしていれば、被保険者負担・事業主負担ともに産後パパ育休期間中の月給・賞与にかかる社会保険料(厚生年金保険料、健康保険料)が免除されます。

産後パパ育休中の社会保険料免除の要件

その月の末日が育児休業期間中である場合
同一月内で育児休業を取得(開始・終了)し、その日数が14日以上の場合

※ただし、賞与の保険料は連続して1か月を超える育休の場合に限り免除

まとめ

産後8週間は女性にとって心身ともに多くのサポートが必要な期間ですが、2022年10月の法改正で新設された産後パパ育休によりパートナーが柔軟に育休を取れることで早い段階からお互いに協力し合って子育てができるようになりました。また、女性が復職しやすい環境作りや、男女ともに家庭と仕事を両立できる環境作りにも役立つ制度だと思います。

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