いざ妊娠した時、妊娠出産を考えた時に産休、育休という言葉は知っていても具体的に何が違うのかどのような制度なのかがわかりづらかったりします。そこでこの記事では、産休、育休がどのような制度か休業できる期間や要件、手続き、手当等についてまとめてみたいと思います。
【この記事でわかること】
・産休と育休の全体像が簡単につかめます
・産休と育休で休める期間
・産休と育休でもらえるお金
産休・育児休業とは?
出産や育児のため仕事を休業できる制度でそれぞれ国の法律により定められています。正社員だけではなくパート、派遣、契約社員でも取得することができ、育児休業においては男性でも取得できます。
産休(産前産後休業)とは
産休とは、出産日の以前の期間の産前と出産後の産後の3か月強のお休みのことです。労働者が無事に出産し身体を回復させて職場に復帰できるよう会社側が出産が近づいた時期と産後しばらくのあいだ休業を与える制度で、労働基準法によって産前を6週間(42日)、産後を8週間(56日)と定められています。なお、出産(予定)日は産前に含まれるものとされています。
育児休業とは
育児休業とは、労働者が子どもの養育のために1歳の誕生日を迎えるまで仕事を休業できる制度で、育児介護休業法により定められています。男女共に取得することができ、養子であっても法律上の親子関係があれば取得できます。育児休業期間は産後休暇(出産日後56日)の翌日の57日から1歳になる誕生日の前日までの約10か月間の期間を指します。
産休育休の取得条件、産休は加入者誰でもOK、育休は要件あり
産休・育休はそれぞれ取得条件が異なります。
産休取得の取得期間と条件
産休は出産予定日の6週間(42日)以前から、双子など多胎児の場合は14週間(98日以前から)出産の翌日以降8週間(56日)まで取得できます。ただし、産後6週間を経過し医師が支障ないと認めた場合は仕事に就くことができます。正社員だけではなくパート、派遣、契約社員など、雇用形態に関係なく健康保険加入しているすべての労働者が会社に申請し取得することができます。
育休の基本取得期間
女性が取得できる育児休業は、出産から57日目(産休終了の翌日)から子どもが1歳の誕生日を迎える前日までとなります。男性が育児休業を取得する場合は、配偶者の出産日当日から子どもの1歳の誕生日を迎える前日までとなります。
育休の取得条件
育児休業を取得する場合は予定日の1ヵ月前までに会社へ申請しなければならないことが法律で定められています。正社員だけでなくパート、派遣、契約社員でも以下の条件を満たしていれば取得できます。
・1歳に満たない子供を養育する男女労働者(日々雇用を除く)
・有期契約労働者は子供が1歳6ヵ月(2歳までの休業の場合は2歳)になるまでの間に雇用契約がなくなることが明らかでないこと
※有期契約労働者はパート、派遣、契約社員など
※法改正により2022年4月からは同一の事業主に引き続き1年以上雇用されている必要は無くなりました。
法改正では1年以上の雇用されている条件がなくなって育休を取りやすくなったのですね
そうなの、でも会社と従業員との労使協定で以下に該当する方々が育休対象者から除外できるので、入社して1年未満の人は会社の就業規則や育児休業規程を確認するといいとおもいます
以下のような労働者について労使協定を結んでいる場合、会社は育児休業の申出を拒むことができます。
・雇用された期間が1年未満の労働者
・1年以内に雇用関係が終了する労働者
・1週間の所定労働日数が2日以下の労働者
※1歳以降の休業の場合は6ヶ月以内に雇用関係が終了する労働者
育休の延長について
育児休業は原則子どもが1歳の誕生日を迎える前日までとなっていますが、保育園などの空きがなかったり配偶者の病気や怪我等により職場に復帰出来ない場合は、子どもが1歳になる前に申請をすれば1歳6ヵ月(再延長は2歳)まで延長できます。
延長、再延長で最大2年の育児休業取得が可能に
前述のように条件を満たせば1歳6ヵ月まで延長できますが、1歳6ヵ月になった時点で状況が変わらない場合は2歳まで再延長できます。
産休と育休、合わせて取得できる休業期間
産休と育児休業を合わせて最長2年3ヵ月程度取得できます。出産予定日と出産日にずれが生じた場合は、出産日に合わせて休業期間が決まるため、人によって取得できる日数は変わります。
産休・育休の取得手続きについて
まずは会社に産前産後休業届や育児休業届を提出します。書式は会社により異なります。また、会社は労働者が社会保険に加入している場合は産休・育休中に健康保険料や厚生年金保険料を免除してもらうよう「健康保険・厚生年金保険産前産後休業取得者申出書」「健康保険・厚生年金保険 育児休業等取得者申出書」を健康保険組合や日本年金機構に提出します。
産休取得の申請期日は?
基本的に産前休業、産後休業は同時に申請をします。出産予定日から6週間(42日)前までに会社に申請し取得することができます。
育休取得の申請期日は?
育児休業は休業を開始したい日の1ヵ月前までに会社へ申請しなければならないことが法律により定められています。
出産・産休・育児休業で受け取れる給付金
出産・産休・育児休業では働き方によって受けられる支援が大きく分けて3つに分類されます。
出産育児一時金
出産育児一時金は、健康保険に加入している本人またはその扶養家族が出産した場合に、子ども1人につき42万円、多胎児(双子以上)を出産した場合はその人数分支給されます。ただし、産科医療補償制度に加入していない医療機関で出産した場合、または在胎週数22週未満での分娩の場合は出産育児一時金の支給額は40万4,000円になります。
(※2023年4月に50万円に引き上げ予定:2023年1月時点)
今回42万円から50万円に引き上げられる予定の出産一時金についての詳細は”【社労士監修】出産育児一時金50万円はいつから?“の記事で確認できます。
出産手当金
出産手当金は、出産で仕事を休んだ時に健康保険から受け取ることができます。出産予定日6週間(42日)前(多胎の場合は出産予定日14週(98日)前)+出産予定日から遅れた出産日までの日数(出産が遅れた場合)+産後8週間(56日)分の手当金を受け取ることができます。支給金額は労働者の収入2/3になります。
ただし、支給を受けるには以下の条件を満たしている必要があります。
・勤務先の健康保険に加入している
・出産のために休業している
・妊娠4ヵ月以降の出産である
出産手当金は勤務年数の要件や正規、非正規の区別はなく、健康保険に加入して仕事をしていなければOK
育児休業給付金と違いシンプルなんですね
育児休業給付金
育児休業給付金は育児休業中に雇用保険から月給の67%(休業開始より6ヵ月経過後からは50%)を受け取ることができます。
給付金を受け取るには以下の条件を満たす必要があります。
・雇用保険に加入し、保険料を支払っている
・育児休業後、退職予定がない
・育休中の就業日数が各1ヵ月に10日以下
・育休中に休業開始前の1ヵ月の賃金の80%以上が支払われていない
・育休前の2年間で11日以上働いた月が12カ月ある
正社員だけでなくパート、派遣、契約社員でも条件を満たせば受け取ることができます。
出生時育児休業給付金
男性の育児休業の取得率の低さを改善するための施策として育児休業とは別に産後パパ育休が新設されました。産後パパ育休は子の出生後8間以内に4週間まで取得できる制度です。産後パパ育休を取得した場合には雇用保険から出生時育児休業給付金を受けることができます。
出生時育児休業給付金の詳細についてはこちらの出生児育児休業給付金とは?産後パパ育休とはなんだろう?の記事で確認できます。
まとめ
この記事では、産休、育休がどのような制度か、休業できる期間や要件、手続き、手当等についてまとめました。制度やルールを理解した上で事前に準備をしておくと安心して産休育休に入ることができるのかなとおもいます。
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